2009年9月15日火曜日

怖いの? 怖くないの?

新型インフルエンザは怖いんだぞぅ~、というガイダンスが多いですが、日本の人口の20パーセントが発病したとして、入院は1.5パーセント、死亡するのではと考えられているのは0.03パーセントです。

つまり、全国民の98.7パーセントの人は入院しないですし、99.97パーセントは死亡しないということになります。

季節性インフルエンザより感染性は高い(「新型」なのでほとんどの人に免疫がないため)とされていますが、重症化するのはごく一部、さらに残念ながら亡くなるのもそのごくごく一部といえます。

とはいえ、

  • その重症化・死亡する方があなたの身近に出る可能性も否定できないこと
  • インフルエンザシーズンに一気に病人が出たら病院に大きな負担がかかること(患者が多く押し寄せることでインフルエンザ以外の疾患の治療や手術ができなくなる、インフルエンザによる重症者に十分に対応できなくなること等)
  • 健康な若い人でも重症化する人がみられる(重症肺炎を起こす可能性がある)こと 等
から、まずは個人個人できちんと予防して、その時期その時期で感染者を少なくすることが必要というわけです。

さらに言えば、健康な人が「心配だから」「診断書・治癒証明書(こんなものはありません)をもらおう」と病院に行けば、そこでかえって新型インフルエンザをもらってきてしまうかもしれません。感染するかもしれない機会をできるだけ少なくするというのも大事です。よくよく考えて受診するようにしましょう。

<参考>
○「新型インフルエンザ対策」が爆発的流行を引き起こす
 /有限会社T&Jメディカル・ソリューションズ代表取締役 木村 知さん(医学博士)
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-235.html
○簡単に発熱外来というけれど
 /長尾クリニック(尼崎市) 長尾和宏 さん
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-234.html

さてさて、良いニュースはワクチンに関して。

○日本の輸入予定ワクチン「1回で効果」 英製薬会社発表
 http://www.asahi.com/special/09015/TKY200909150132.html
英医薬品大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は14日、新型インフルのワクチンの初期の臨床試験(治験)結果を発表した。日本が輸入を検討しているワクチンも、成人では1回接種で十分な免疫が得られたとしている。
 治験はドイツで行われ、18~60歳の健康な成人130人が参加した。免疫補助剤を添加するワクチンも、日本が輸入を検討している添加しないワクチンもほぼ同じ免疫が得られたとした。

いままでワクチンは2回接種が必要とされてきましたが、もし1回でOKとなるとより多くの人に接種できることになります。朗報ですねぇ~。

こうしたデータは、どしどし公開していっていただきたいものです。本来は輸入だからダメ、国産だからOKとは一概に言えないですもんね。

さて、ワクチンに関してはさまざまな憂慮すべき事態が見えないところで起きているようで…。「1mLバイアルを10mLバイアルにすれば輸入分は不要」というニュースが少し前に流れていましたが、その接種方法の安全性は大丈夫なのかという疑問にも答えてくれている森兼先生の論文です。

私たちに無関係なことではありませんから、注視していきたいものですね。

医療ガバナンス学会から。
○「本当に接種できるのか?課題山積の新型インフルエンザワクチン」
 /東北大学大学院医学系研究科 感染制御・検査診断学 講師 森兼啓太さん
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-238.html

○死者数を増やすのは医系技官かウイルスか?
 /厚生労働省大臣政策室 政策官 村重直子さん
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-246.html

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