2009年10月16日金曜日

ワクチン接種、原則1回という案

接種は原則1回という方向性が示されました。

これが実施されれば、医療機関の負担も減りますし、ワクチンを接種できる人数も増えるといったことになりそうですね。

新型インフルワクチン、接種は原則1回=13歳未満、免疫不全者は2回
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000138-jij-soci

 厚生労働省が16日開いた新型インフルエンザワクチンについての意見交換会で、出席した専門家らは、国産ワクチンの接種回数を原則1回とする方針で合意した。同省は長妻昭厚労相に報告し、近く最終決定する。

 国産ワクチンの臨床試験で、1回の接種で十分な免疫が得られることが分かったため、2回接種の方針を改めた。これまでの計画より、国産ワクチンを打てる人が増える見通しとなった。 合意によると、1回接種となるのは医療従事者と1歳未満の乳児の保護者に加え、妊婦、中学・高校生、高齢者。 持病のある人も基本的に1回接種だが、白血病やエイズウイルス(HIV)感染などで免疫状態が悪化している人は、主治医の判断で2回接種もできる。1歳以上13歳未満の子どもは1回接種では十分な免疫が得られない可能性があり、原則的に2回接種とする。 

厚労省からのお知らせ

お待ちしておりました。
厚生労働省から、「念のため」あるいは「かかっていない証明」のために「簡易検査」や「陰性証明書」を求めないでほしいこと、救急外来の混乱を回避してほしいこと等が求められました。

あとは、10mLバイアルの現場での取説でしょうか~。

○新型で「念のため」の受診控えてと呼び掛け―厚労省政務官
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000009-cbn-soci

 厚生労働省の足立信也政務官は10月16日の記者会見で、新型インフルエンザ患者が特に多く報告されている5都道府県の担当者に実施した聞き取り調査で、感染していないか確認するため、簡易検査を受ける目的で受診するケースが多く見受けられるとして、こうした受診を自粛するよう呼び掛けた。

 調査は今週、北海道、東京、愛知、大阪、福岡の新型インフルエンザ対策の担当者を対象に実施し、医療提供体制に問題が起きていないかなどを聞いた。その結果、家族が新型インフルエンザにかかった場合、本人が感染していないことを証明する、いわゆる「陰性証明」を求めて受診するケースが見受けられたという。しかし、足立政務官は「医学的には本人が感染していないことを証明するのは困難」と述べ、企業などに陰性証明を求めることを自粛するよう呼び掛けた。

 また、三次救急医療機関を直接受診するケースも多く見受けられたとして、全国的に新型インフルエンザ患者が増加する中、「救急外来が混雑することで、他の救急患者さんへの対応が手薄になったり、遅れたりする可能性がある」と強調し、かかりつけ医と発熱時の対応についてあらかじめ相談することなどを求めた。

ワクチンの有効性ほか

 まずは朗報から。

国産ワクチン、1回の接種で効果 厚労省
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000050-mai-soci

 厚生労働省は16日、新型インフルエンザの国産ワクチンについて、「1回の接種で効果的な免疫反応が期待できる」とする治験結果を公表した。新型インフルエンザは大半の人が免疫を持たないため、これまで2回接種を前提にしていた。だが、1回接種で十分になった場合、接種人数が増える可能性がある。

 治験は北里研究所が製造したワクチンについて9月17日から健康な成人200人に対して実施。通常量(15マイクログラム)を皮下注射した結果、血液中で免疫として働く抗体の量が4倍以上上昇するなど、ワクチンの有効性を示す基準を満たした人が96人中72人(75%)で、ワクチンとして有効と評価される国際基準の40%を上回った。また倍の量(30マイクログラム)を接種した98人では86人(87.8%)に上った。

 ワクチンを接種した後の副作用は45.9%の人にあり、接種個所が赤く腫れたりする頻度が高かった。比較的重い副作用として急なアレルギーショックなどもあったという。
 新型インフルエンザのワクチン接種回数を巡っては米厚生省も9月、成人に対する臨床試験結果から、1回の接種で十分な免疫効果を得られたと発表していた。

 ワクチンの効果については、朗報ですね。
 副反応に関しても報告がありますが、ちなみに、8/20、8/27新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会の資料「予防接種後副反応報告書集計報告」によると、インフルエンザでは、ワクチン接種者数13,064,354人に対して、副反応報告症例数25。頻度は、10,000人当たり、0.01913です。

 ワクチンについてより詳しい内容は、厚生労働省HPを参照のこと。
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_vaccine.html

 そして、5月から専門家がずっと指摘してきましたが、早くも医療機関パンクの予兆が。

新型インフル:患者殺到続けば危険 愛知県病院協会が声明
 http://mainichi.jp/select/science/news/20091016k0000e040073000c.html
 


 新型インフルエンザの拡大が続く中、重症緊急患者を受け入れる3次緊急病院にインフルエンザを疑う受診者が土日祝日に殺到していることが分かった。愛知県病院協会が15日明らかにしたもので、稲垣春夫会長(トヨタ記念病院院長)は「現場はパンク状態。患者の殺到が続けば、事故が起きる心配もあり、冷静な対応をお願いしたい」などとする緊急アピールを発表した。

 同協会などによると、名古屋第2赤十字病院(名古屋市昭和区)では、今月10~12日の3連休、インフルエンザではないかと訴える受診者が平日の4~9倍にあたる約130~280人訪れた。また、名古屋掖済会病院(同市中川区)でも、小児科で通常の土日祝日の4倍に上る受診者が訪れ、診察まで4時間待ちだったという。土日祝日に開業医が休みになるのが原因とみられ、病院では医師を増員するなどして対応に追われているという。

 そうしたことを受けて、厚生労働省から、呼びかけ。

国産ワクチン1回で効果 新型インフル臨床報告
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000075-san-soci

(一部抜粋)

安易な受診やめて
 厚生労働省の足立信也政務官は16日の記者会見で、11日までの1週間に全国約5千の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が1機関当たり12・92人と、前週の6・40人から倍増し、流行が急速に拡大していることを明らかにした。
 その上で足立政務官は「念のための受診も多く、重症者への対応が遅れる可能性が出ている」として、安易な受診を控えるよう注意を呼び掛けた。

 医療施設のパンクについては、5月来専門家がずっと指摘してきたところですが、ワクチン接種の混乱も相まって地域の医療体制は整っていないところが多いようです。
 自治体もいまワクチン接種について医療機関と調整中でてんやわんやなので、できれば「ワクチンはいつから」といった質問電話は少し控えていただいて、もうしばらく自治体からの発表を待っていただきたいところです。

 一方で、治療を受ける必要があるかどうか等、徐々に自治体等の相談窓口の充実を図っていってほしいところ…。

2009年10月13日火曜日

ワクチンまとめ

ワクチンに関する記事からです。

○新型インフルワクチン接種 「過信は禁物」
 http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_125541224395.html

○【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦   
  http://sankei.jp.msn.com/life/body/090926/bdy0909260406000-n1.htm

○ワクチン効果、限界も 大流行に備えて
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/swine/list/200910/CK2009100502000108.html
国産の新型インフルワクチンは、季節性のインフルエンザと「同等の安全性」といわれているので昨年度の副作用をチェック。
○季節性インフル、121人に副作用の疑い=昨年度のワクチン接種-厚労省
  http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009092900975

ということで、 ごく簡単にですがまとめです。

インフルエンザワクチンは重症化・肺炎・死亡のリスクを下げるとともに大きな流行を抑えることに有効です。

新型インフルエンザは、感染しても大多数の人が軽症ですが、ごくごく少数ながら健康な人でも重症化・死亡する例がみられることから、ワクチンの接種は個人と社会的機能を守る予防策のひとつとして大いに期待されています。

しかし、接種には、異物を体内に入れることから多かれ少なかれ副反応がつきものです。新型インフルエンザの国産のワクチンは季節性インフルエンザのワクチンと同じ製法で作られていることから、新型のワクチンは季節性と同等の安全性をもつと考えられていますが、「同等の安全性」とは「まったく副反応が起きない」ということではなく、ごくごくまれながら重篤な副反応も見られることもあります。

また、ワクチンを接種しても、絶対に感染しないというわけではありません。

最終的には、皆さん一人ひとりが新型インフルエンザに感染した場合に重症化するリスクと、ワクチンの有効性・安全性を考慮して接種するかどうかを決めることが求められています(基礎疾患をお持ちの方は、ご自身の状態が免疫力が低下した状態かどうか、コントロールされている状態か等、かかりつけ医にうかがってご相談なさるとよいと思います)。

こうしたことに加えワクチンが国内に十分に行き渡らなかったり、流行ピーク時に間に合わない可能性がある今、新型インフルエンザの予防においてワクチンは唯一の切り札ではなく、一人ひとりの予防と早期発見・早期治療が最も重要と考えられています。