2009年10月19日月曜日

肺炎球菌ワクチン、再接種認める

海外と日本のワクチン行政には大きな違いがみられます。

ワクチンに関して海外で認められていることが日本では認められなかったり、また時間がかかったりとヘンなことが多かったんですが、ようやく欧米並みになりそうな兆しが見えてきました。

今回明らかになってきた動きはこれです。
日本では1生に1度しか接種できない肺炎球菌ワクチンですが、この接種も5年程度たてば再接種ができるようになるとのこと。

○肺炎球菌ワクチンの再接種認める…厚労省
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091018-OYT1T00677.htm?from=main5

 厚生労働省は18日、肺炎の重症化を予防する肺炎球菌ワクチンについて、1回目の接種から5年程度経ていれば再接種を認めることを決めた。

 新型インフルエンザに感染した65歳以上の高齢者が重篤な肺炎を併発することを防ぐ効果も期待される。
 同ワクチンは従来、再接種すると強い副作用が出るとして、接種は一生に1度とされていた。だが、同ワクチンの効果は5年以上たつと低下する。海外などで4年以上の間隔を置けば、再接種は問題ないとの報告が出され、現在では欧米の多くの国で再接種が認められている。
 この日開かれた同省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は、5年を目安に一定の間隔があれば、医師の判断で再接種を認めることで合意。同省はインフルエンザワクチンとの同時接種も認めた。

子どもの肺炎球菌ワクチンも承認されたことから、どちらの年齢層にも接種をすれば新型を含むインフルエンザによる重症者が減るのではと期待されるところです。

これまでは季節性インフルエンザに感染したことをきっかけとして肺炎などで亡くなることが多い高齢者層に接種されてきた肺炎球菌ワクチンですが、これにより新型インフルなどのハイリスク者である基礎疾患をもった方も積極的な接種がなされるようになるかもしれません。

そしてまた、季節性で亡くなることが多いもう一つの年齢層、小児の肺炎球菌ワクチンも承認の動き。これにより新型インフルにも大きな武器を備えることができるといえそうです。

○肺炎球菌:小児用ワクチン、国内販売を承認
 http://mainichi.jp/select/science/news/20091017ddm041040150000c.html

 厚生労働省は16日、小児用の肺炎球菌ワクチンの国内販売を承認した。肺炎球菌は子どもに重症の髄膜炎や肺炎などを起こす。国内では、来春までに小児科などで任意接種が受けられるようになる見通し。
 承認されたのはワイス(東京都品川区)が申請していた小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」。日本の承認は98カ国目。
 肺炎球菌が原因の髄膜炎は年間約200人が発症する。病気の進行が早く、致死率は10%と言われている。接種対象は生後2カ月から9歳以下。接種時期は、生後2カ月以上~7カ月未満に始め、1歳3カ月までに計4回を標準としている。

一般的に、ワクチンを多くの人に接種することで、社会全体として感染の広がりを抑えたり、助かる人が多くなって、国にかかる医療費全体も安くなるといった効果が見込めることになります。

その一方で、ワクチンを接種により残念ながら副反応(副作用)が一定の割合で出ます。たとえば100万人に1人というようなごく稀でごく小さな割合ながら、重篤な後遺症が残るケースもあります。こうした補償をどうするか。社会全体として接種したのだから、万一重篤な副反応がみられた場合には社会全体として支えましょう、ということが求められます。

それが欧米ですでに行われている無過失補償制度(接種した医師・メーカーが責任をとることなく、十分な補償を行うという制度で、この補償を受ける場合には訴訟をしないということが条件に。ですが日本は訴訟の権利は万人に認められていますから、新型ではすぐに適用できなかった)です。

厚生労働省・足立政務官は、この制度を新型に間に合わせることができなかったが、これから出す特別法に「今後検討していく」という条文を盛り込むことを明言なさっていますので、まだ時間がかかるかもしれませんがこれも実施される方向に…。

日本は世界の流れに反するワクチン政策を行ってきたとずっと揶揄されてきましたが、民主党政権はこれに前向きなので、ようやく欧米並みのワクチン行政になるという嬉しい予感…。

ワクチンだけでなく海外で認められている未承認薬(抗がん剤等)も認められるようになるといいですね。

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