2009年10月18日日曜日

ワクチン1回かどうかは不透明に?

自治体によっては19日から医療関係者に向けて始まるとされるワクチン接種ですが、ワクチン1回でいいよ、という話が伝わり、接種の自治体等はこの時期にと困惑が広がっている様子です。

○1回接種、自治体は「寝耳に水」
http://sankei.jp.msn.com/life/body/091017/bdy0910172000004-n1.htm

報道が先走りましたが、実はまだ政務三役も了承しておらず、決定事項ではない様子。
まだこの決定までには紆余曲折もあるかもしれません。(これを決定した「専門家委員会」のメンバーの問題とその議論の過程に疑問符がつけられているため。足立政務官は、「科学者の端くれとして断じて許せない」と激怒したとも報道されていますし、確かに素人目に見てもおかしな部分が満載です)

○新型インフル ワクチン1回化は「科学の仮面かぶったデタラメ」
 http://lohasmedical.jp/news/2009/10/17190448.php

(以下、世田谷区医師会講演会において上昌弘・東大医科研特任准教授の話から抜粋)

 「議論の判断材料になった臨床試験のデザインは非劣性試験といって、標準治療が存在する時に、効果は劣る代わりに別のメリットがあるような治療法をテストし、劣る効果と得られるメリットとを比較検討するためのもの。今回の場合、標準治療は2回打ち、効果は抗体価の上昇、メリットは接種人数が増えること、になる。だから、試験結果の正しい読み方は、2回打ちに比べて1回打ちは抗体価の上昇が10ポイントほど低いけれど、それを容認してでも接種人数を増やすべきか、ということになる。こんなのは学生でも半年ぐらい勉強すれば分かること。なぜこんな簡単なことを間違えるかと言えば、専門家会議と言いながらメンバーは素人だからだ」
 さらに「百歩譲ってメリットが上回ることを認めたとしても、20歳以上の人を対象にした試験で、なぜ13歳以上まで適用を広げられるのか。科学的には言えるはずがない。特に今回は中高生の罹患も重症化事例も多いことが知られていて、成人と様相が明らかに異なる。臨床試験の勉強をした人なら絶対にしないような合意をしてしまっている。この国は危険だ。素人が判断して、それを皆で拝んでいる」と述べた。
 同じく講演会で講師を務めた森澤雄司・自治医大感染制御部部長も「そもそも抗体価が上昇するからといって、ワクチンに効果があるとは限らない。また、海外のワクチンが1回で効果があると言っても、それと国産ワクチンとは全く別物。それぞれ独立に判断しなければならない。前提条件を3重にも4重にも間違えている。以前は確信犯的にやっていると思っていたのだけれど、最近は本当に知らないんじゃないかと思うようになった」と、講演会終了後の取材に対して語った。

 詳細には、次の記事。

○新型インフル 「厚生労働省を信じてはいけない」
 http://lohasmedical.jp/news/2009/10/18001220.php

記事は少し長いですが、問題点が多数見えてきます。
なかでも、「新型と同じH1N1型である季節性Aソ連型に過去に感染した際に、新型に対しても基礎的な免疫を得ている可能性があるという推論の上に、13歳以上ならば同様に基礎的な免疫を得ているだろうという推論を二段階重ねて、この結論を導き出している」と指摘されていますが、この推論には専門家ならずとも疑問符がつくところです。

これまでのところ、中高生の間で流行したり重症化したりする例が目立っていることを考え合わせると、少なくともこの年齢層に対して2回接種をしないという決定はよくわかりませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿