ふつう、インフルエンザワクチンは 0.5 mL を皮下注射します。1つのバイアルで、理論上は20人接種できることになります。小児では、もう少し量が少なくなるので、もっと多い人数に接種が可能になります。
医師が接種をする作業までを追ってみると、少なくとも
- バイアルを手で開ける
- 注射器の袋を開ける
- 容器の栓およびその周囲をアルコールで消毒
- バイアルに注射器を刺す
- 所要量を注射器内に吸引空気
- 接種
これを、1バイアルで20回(20人)繰り返すことを想像するだけで、思わず目の前がくらくらしてしまうほどの大変な状態です。
森澤雄司 自治医科大学附属病院・感染制御部長は、ヒューマンエラー等がゼロになるとは言い切れず、また雑菌の混入・繁殖等も心配されことから、「今回のワクチンは数千万人に接種するという話であり、エラーが生じる可能性は数万回に 1 回であっても許容しづらい」とし、「執拗いがそのような事態に陥っているのが残念至極」とし、「現実的な医療安全の考え方で言えば、次に考えられる対策は、被接種者が当事者意識をもって関与してもらうことであり、内心忸怩たるものがあるが、「その針は清潔で安全ですか?」と接種を受ける際に本人から確認していただく必要があるかもしれない」と指摘されています。
○新型インフルエンザワクチンに思うこと -10 mL-バイアルなんてウソでしょ~!-
森澤雄司 自治医科大学附属病院・感染制御部長/MRIC by 医療ガバナンス学会
診療所で新型インフルのワクチンが接種されることになれば、さまざまな患者のなかにワクチン接種者がいるわけなので、より煩雑になることから、一層リスクが高まります。
森澤先生は、さらに「ちなみに新型インフルエンザワクチン接種は保健所や保健センターだけでなく、一般医療機関でも実施される方針である。そのような場合に 10-mL バイアルが使用されるようであれば、予約した方々には必ず時間を守っていただきたい。予定の人数が揃わないためにバイアルの中の残液が廃棄されるような事態になれば、数を揃えるための苦肉の策である 10-mL バイアルが本末転倒に足を引っ張る理由にもなりかねない」と述べられています。
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