2009年9月30日水曜日

ワクチンの接種場所

インフルエンザ・シーズンのピーク時、極力医療機関の負担を減らす努力が必要になります。

近々でいうと、新型インフルエンザのワクチン接種は現状では医療機関で行うといった方向性のようですが、専門家から聞かれるのは、接種は発熱患者が来ない保健所や保健センターで行うべき、という声です。

これにはいくつか理由があります。

1つに、まもなく医療機関においては定期接種の時期に入るということです。
インフルエンザシーズンに入って患者が医療機関に多く押し寄せることが想定されていますが、定期接種に加えてさらに新型インフルエンザのワクチン接種をしなくてはならないことをすでに憂慮している小児科医等がみられます。

一般にインフルエンザ様症状の患者さんの診断・治療のため、国はインフルエンザの患者と慢性疾患等の一般の患者の動線を分ける(これもなかなか難しいですが)としています。ワクチン接種を一般の医療機関で行うことになれば、さらに健康な(しかし見かけは発症していないだけかもしれない)人が加わることになります。

とすると、ここに新たなリスクが生まれます。健康な人は、新型インフルのワクチン接種をしに行って、新型をもらってきてしまうリスクがありますし、3グループに分けない限り、一般の患者にもその感染リスクが増すことになります。

そして、現在厚生労働省がワクチンの一部を「1mlバイアルを10mlバイアルに変更する」として言い出していることも、別のリスクを生む可能性があります。

東北大大学院大学院医学系研究科感染制御・検査診断学の森兼啓太講師は、10mlバイアルを使うと1本の瓶に20回穿刺することになり、微生物による汚染の機会が増す」とそのリスクを主張なさっています。

○「本当に接種できるのか?課題山積の新型インフルエンザワクチン」/森兼啓太
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-238.html

こうしたワクチン接種時の安全性は、この時代においては当然担保される必要があります。

もしこのまま厚生労働省のすすめる10mlバイアルが流通するようになるなら、どこで接種をすべきか、またどういった体制をとれば、このリスクを最小にすることができるのかといったことを十分に検討する必要があります。

そうしないと、場合によってはこうした別のリスクを負ってまで、接種する必要性があるほど高い病原性をもつ感染症なのかという本来ある議論にまで戻らざるを得なくなるように思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿