2009年10月13日火曜日
ワクチンまとめ
○新型インフルワクチン接種 「過信は禁物」
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_125541224395.html
○【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦
http://sankei.jp.msn.com/life/body/090926/bdy0909260406000-n1.htm
○ワクチン効果、限界も 大流行に備えて
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/swine/list/200910/CK2009100502000108.html
国産の新型インフルワクチンは、季節性のインフルエンザと「同等の安全性」といわれているので昨年度の副作用をチェック。
○季節性インフル、121人に副作用の疑い=昨年度のワクチン接種-厚労省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009092900975
ということで、 ごく簡単にですがまとめです。
インフルエンザワクチンは重症化・肺炎・死亡のリスクを下げるとともに大きな流行を抑えることに有効です。
新型インフルエンザは、感染しても大多数の人が軽症ですが、ごくごく少数ながら健康な人でも重症化・死亡する例がみられることから、ワクチンの接種は個人と社会的機能を守る予防策のひとつとして大いに期待されています。
しかし、接種には、異物を体内に入れることから多かれ少なかれ副反応がつきものです。新型インフルエンザの国産のワクチンは季節性インフルエンザのワクチンと同じ製法で作られていることから、新型のワクチンは季節性と同等の安全性をもつと考えられていますが、「同等の安全性」とは「まったく副反応が起きない」ということではなく、ごくごくまれながら重篤な副反応も見られることもあります。
また、ワクチンを接種しても、絶対に感染しないというわけではありません。
最終的には、皆さん一人ひとりが新型インフルエンザに感染した場合に重症化するリスクと、ワクチンの有効性・安全性を考慮して接種するかどうかを決めることが求められています(基礎疾患をお持ちの方は、ご自身の状態が免疫力が低下した状態かどうか、コントロールされている状態か等、かかりつけ医にうかがってご相談なさるとよいと思います)。
こうしたことに加えワクチンが国内に十分に行き渡らなかったり、流行ピーク時に間に合わない可能性がある今、新型インフルエンザの予防においてワクチンは唯一の切り札ではなく、一人ひとりの予防と早期発見・早期治療が最も重要と考えられています。
2009年10月7日水曜日
不安はつきぬ…
…と言われても、親御さんはやっぱり悩みますよね。
それと、地域の小児科医がこうした接種方法をしてくださるかどうか。
プリントアウトして、予めかかりつけ医に相談しておくとよいかもしれません。
○卵アレルギー児にもインフルワクチン接種を推奨-都講演会で小児科医
東京都と独立行政法人環境再生保全機構は10月5日、子どものぜんそくや食物アレルギーの正しい知識と対応法に関する講演会を開き、東京慈恵会医科大附属第三病院小児科の田知本寛医師が自らの診療経験などを基に講演、また参加者の質問に応じた。卵アレルギーを持つ3歳児の親から、鶏卵を使って生産する新型インフルエンザワクチンの接種後の副反応を不安がる声があり、田知本氏はワクチンが少量であることを説明し、「基本的には、ワクチンはすべてやる方向です。卵アレルギーがあっても。だからインフルエンザワクチンもやるべきだと思う」と、接種を推奨した。
講演会には、アレルギーを持つ子どもの保護者や看護師、保育士など約250人が参加。
田知本氏は、アトピー性皮膚炎の子どもの入浴について「手で洗えば傷にならない」とし、顔も体もよく泡立てた石鹸を用い、「手でごしごし洗って構わない」と述べるなど、日常生活での対応法や、アレルギー状況を知る上での食物日記の重要性などを解説した。 講演後に行われた質疑応答では、田知本氏が推奨した入浴法について、保育園勤務の女性が「石鹸を使った入浴でよくない場合もあるのか」と質問した。これに対し田知本氏は、「皮膚科のアトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、洗うことが基本になっている」と指摘。「よくないパターンはあまり考えにくい」と答えた。 また、新型インフルエンザに関する不安の声も参加者から上がり、季節の変わり目にぜんそくの症状がひどくなるという4歳の息子の保護者は、「ぜんそくの子はインフルエンザにかかるととても危険」との報道を挙げ、対処法を尋ねた。 田知本氏は「治療を普段からちゃんとしている子は、悪くなりにくいのではないか」とし、普段から治療をきちんと受ける重要性を強調した。
別の保護者は、卵などの食物アレルギーを持つ子への、鶏卵を使って製造するワクチンの接種への不安を訴えた。田知本氏はワクチン接種の推奨の方向性を示した上で、副反応に備えワクチンを分割して接種する方法を紹介。それによると、一回0.2ccを2回接種する場合は、まず0.05ccを1回打ち、腫れてこなければ残量を打つ。それで大丈夫なら、2回目接種では一回で0.2㏄を打つ。
また、副反応が不安なので接種回数は「2回となっているが、1回でもいいのか」という質問には、「ブースター効果といって、抗体をたくさん作らせるためなので、規定された量(2回)は打った方がよい」と述べた。
大型台風接近中
台風18号は、8日明け方から昼前にかけて東海地方に最接近する可能性が高まった。名古屋地方気象台は7日午前、愛知県庁で説明会を開き「1959年の伊勢湾台風とほぼ同じコースで東海地方にとって最悪のコースとなる恐れが高まった」と指摘。風についても「過去10年で最大になる恐れがある」と7日中に対策を済ませるよう呼び掛けた。
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残念ながら半端なく規模が大きく、直撃になりそうですね。地域によっては、年間雨量の半分(600ミリ+300ミリ等)ほどが降るのではと予想されています。
とはいえ、突然の集中豪雨ではなく台風ということで予測が可能ですから、早め早めの行動を心がけてください。
<危険回避のための避難>
- 土砂災害の可能性がある家では、台風が来る前に安全な場所に避難を。
- 河川が決壊する危険性のある場所に家がある場合には、台風が来る前に安全な場所に避難を。(一戸建てでも流される場合があります)
- 水(雨水が50ミリ/時間を超えると一時的に流れていかなくなったり川や水路から水が溢れる)による水害が心配される場合には、2階がある場合には2階、あるいはそれ以上の高台に移動するといった避難方法もご検討ください。
- 夜間・道路冠水後・台風ピーク時の避難は、非常に危険です。避難が必要な場合には、できるだけそうした状態になる前に避難を済ませましょう(避難所までの行程や、田畑を見に行って被害に合うことが多くみられます)。
- 冠水時、どうしても外に出る場合には、マンホールがはずれているといったことが考えられますので、傘などで足元を確認しながら、ゆっくり進みましょう。なお、靴は長靴ではなく短靴にしましょう。ちなみに、子どもは30センチの深さでも、歩くのが困難です。大人でも、水がひざ上にまでくるとなんとか歩けるものの、思わずバランスを崩したり危ない場合があるので注意が必要です(風や流れがあれば、ここまでの水深でなくても危険です)。
- 何が何でも避難所へ、ということはありません。避難経路が低地になっていたり、川が溢れていることがありますのでその場合には、近くの頑丈な建物の高い階に避難するといったこともお考えください。
- 残念ながら、市区町村から避難勧告や指示が適切に出るとは限りません。避難勧告を出すタイミングというのはとても難しく、矢継ぎ早に情報が入ってきて、対応できない場合もあります(もちろん精一杯ご努力なさっていると承知しておりますが…)。基本は、浸水・土砂災害の危険がある地域では、避難勧告が出なくても、自主避難が求められます。
また、急な河川の増水があったり、地元ならではの土砂災害の前兆を感知するといったことも考えられるので、情報に頼りすぎないようにしておくことも重要です。
- 風が弱くなっていても、雨が降っていたら川が氾濫する危険があります。
- 雨がやんでも、土砂災害の危険があります。
- 都市部の浸水が心配される地域では、できるだけ地下を避けるようにしましょう。
- 自家用車は、ガード下などの水溜りに入り死者が出る例も目立ちます。マフラーから浸水したらエンジンが切れパワーウインドウも開かなくなります。窓ガラスを割る道具を車に積んでおいたり、できるだけ車での移動は避けたほうがよいでしょう。
- 地下室は、30センチの深さでドアが開かなくなります。
- 浸水が考えられるようであれば、予め土のうの準備、飛ぶ可能性があるものを固定する、雨水ますに枯れ葉がたまっていないか等、確認しておきましょう。
2009年10月5日月曜日
10mlバイアルへの不安
ふつう、インフルエンザワクチンは 0.5 mL を皮下注射します。1つのバイアルで、理論上は20人接種できることになります。小児では、もう少し量が少なくなるので、もっと多い人数に接種が可能になります。
医師が接種をする作業までを追ってみると、少なくとも
- バイアルを手で開ける
- 注射器の袋を開ける
- 容器の栓およびその周囲をアルコールで消毒
- バイアルに注射器を刺す
- 所要量を注射器内に吸引空気
- 接種
これを、1バイアルで20回(20人)繰り返すことを想像するだけで、思わず目の前がくらくらしてしまうほどの大変な状態です。
森澤雄司 自治医科大学附属病院・感染制御部長は、ヒューマンエラー等がゼロになるとは言い切れず、また雑菌の混入・繁殖等も心配されことから、「今回のワクチンは数千万人に接種するという話であり、エラーが生じる可能性は数万回に 1 回であっても許容しづらい」とし、「執拗いがそのような事態に陥っているのが残念至極」とし、「現実的な医療安全の考え方で言えば、次に考えられる対策は、被接種者が当事者意識をもって関与してもらうことであり、内心忸怩たるものがあるが、「その針は清潔で安全ですか?」と接種を受ける際に本人から確認していただく必要があるかもしれない」と指摘されています。
○新型インフルエンザワクチンに思うこと -10 mL-バイアルなんてウソでしょ~!-
森澤雄司 自治医科大学附属病院・感染制御部長/MRIC by 医療ガバナンス学会
診療所で新型インフルのワクチンが接種されることになれば、さまざまな患者のなかにワクチン接種者がいるわけなので、より煩雑になることから、一層リスクが高まります。
森澤先生は、さらに「ちなみに新型インフルエンザワクチン接種は保健所や保健センターだけでなく、一般医療機関でも実施される方針である。そのような場合に 10-mL バイアルが使用されるようであれば、予約した方々には必ず時間を守っていただきたい。予定の人数が揃わないためにバイアルの中の残液が廃棄されるような事態になれば、数を揃えるための苦肉の策である 10-mL バイアルが本末転倒に足を引っ張る理由にもなりかねない」と述べられています。
2009年10月3日土曜日
新型にも肺炎球菌ワクチンは有効
季節性インフルエンザに感染することをきっかけとして、主に高齢者が肺炎でなくなるケースが多くみられます(高齢者の肺炎の原因となる病原体のなかで、「肺炎球菌」は最も頻度が高くなっていることから、肺炎球菌ワクチン接種が奨められてきました(ただし、季節性インフルエンザによる肺炎のすべてを防ぐものではありません)。
新型インフルエンザは、感染したウイルスが直接悪さをして、50歳代以下の若い世代が亡くなるケースが目立っていましたが、下の記事によると、肺炎球菌による死因も見られるとのこと。
新型インフルエンザ対策としても、肺炎球菌ワクチンが有効であるケースも多い、ということになります。朗報ですね。
○新型インフル死者の3割、細菌に同時感染
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091002-00000885-yom-sci
新型インフルエンザの死者の約3割が細菌に同時感染していたとの調査結果を米疾病対策センター(CDC)が1日の週報で発表した。
5月~8月に新型インフルで死亡した77人から組織を採取して検査したところ、22人が肺炎球菌などの細菌にも感染していた。
肺炎球菌は、免疫力が落ちると増殖して、肺炎を引き起こし、患者が死亡する一因となる。
CDCは「細菌は検出が難しいため、見逃されている可能性がある」と指摘、同時感染が疑われる場合は抗生物質による治療を検討するよう勧めている。
現在、医療機関では、肺炎球菌ワクチンが売り切れ状態ですが、予定では10月中旬以降から徐々に出回るとのこと。
自治体によっては補助も始まっていますので、問い合わせてみるといいですね。
2009年9月30日水曜日
ワクチンの接種場所
近々でいうと、新型インフルエンザのワクチン接種は現状では医療機関で行うといった方向性のようですが、専門家から聞かれるのは、接種は発熱患者が来ない保健所や保健センターで行うべき、という声です。
これにはいくつか理由があります。
1つに、まもなく医療機関においては定期接種の時期に入るということです。
インフルエンザシーズンに入って患者が医療機関に多く押し寄せることが想定されていますが、定期接種に加えてさらに新型インフルエンザのワクチン接種をしなくてはならないことをすでに憂慮している小児科医等がみられます。
一般にインフルエンザ様症状の患者さんの診断・治療のため、国はインフルエンザの患者と慢性疾患等の一般の患者の動線を分ける(これもなかなか難しいですが)としています。ワクチン接種を一般の医療機関で行うことになれば、さらに健康な(しかし見かけは発症していないだけかもしれない)人が加わることになります。
とすると、ここに新たなリスクが生まれます。健康な人は、新型インフルのワクチン接種をしに行って、新型をもらってきてしまうリスクがありますし、3グループに分けない限り、一般の患者にもその感染リスクが増すことになります。
そして、現在厚生労働省がワクチンの一部を「1mlバイアルを10mlバイアルに変更する」として言い出していることも、別のリスクを生む可能性があります。
東北大大学院大学院医学系研究科感染制御・検査診断学の森兼啓太講師は、10mlバイアルを使うと1本の瓶に20回穿刺することになり、微生物による汚染の機会が増す」とそのリスクを主張なさっています。
○「本当に接種できるのか?課題山積の新型インフルエンザワクチン」/森兼啓太
http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-238.html
こうしたワクチン接種時の安全性は、この時代においては当然担保される必要があります。
もしこのまま厚生労働省のすすめる10mlバイアルが流通するようになるなら、どこで接種をすべきか、またどういった体制をとれば、このリスクを最小にすることができるのかといったことを十分に検討する必要があります。
そうしないと、場合によってはこうした別のリスクを負ってまで、接種する必要性があるほど高い病原性をもつ感染症なのかという本来ある議論にまで戻らざるを得なくなるように思います。
2009年9月29日火曜日
医療従事者の、医療従事者による、国民のための新型インフルエンザ対策
森兼啓太 東北大学大学院医学系研究科 感染制御・検査診断学分野 講師
http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-265.html
この中にも書いてありますが、WHOではなぜ日本は致死率が低いのか、また小さな流行がみられたとき(神戸・大阪等)、なぜ感染が抑えられたのかがよく議論になっていると聞いています。
致死率が低い理由としては、医療機関へのアクセスがよく、すぐに治療してもらえる、そしてこれまでの季節性インフルエンザでも、タミフルやりレンザを多く使用してきたこと、そして学校で見られるような集団の手洗いの習慣等が挙げられます。
よく、災害時には「ふだんしていることしかできない」と言われますけど、もしかすると幸運にも、日本はインフルエンザ対応に最も適応してきた国と言ってよいのかもしれませんね。
と、考えてみると「発熱外来」は、誰にとっても「ふだんしてきたこと」ではありません。
現在、厚生労働省は一度診察した等の条件付ながらファックスで、「タミフル投与」をするといった処方をしてもよい、としていますが、これも「ふだんしてきたこと」ではありません。
イギリスでは、フル・フレンドといって、電話でインフルかどうかを判断(医師ではない人が行う)をし、予め決められたその患者の友達が薬を受け取りに行って届ける(接触せずにポストに入れる)といったシステムが導入されています。
しかし、発熱=インフルエンザではないですし、これにとらわれていると大きな疾患を見落とすことが心配されています。たくさんの病気がありますもんね。
実際、イギリスのフル・フレンド制度でも、日本で行われた5,6月に行われた発熱外来でもそうしたケースが指摘されていました。
よって、ふだんの診療の延長で自治体と医師会がタッグを組んで頑張る「仙台方式」が全国でもっとも注目されました(自分の子どもが熱を出したとしても、発熱外来には行きにくいですもんね)。
新型インフルエンザ対策・診療も、できるだけ、ふだんしていることの延長でとらえるべきでしょうし、そうするために、行政は地域の医療機関を精一杯(財政面も含めて)フォローしていただきたいところです。
