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2009年12月2日水曜日

2度かかることもある?

まずはニュースから。

○米の小児科医、新型インフルに2回感染
 http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20091125-OYT1T01107.htm

 米ウェストバージニア州の女性が新型インフルエンザに2回感染したことが分かった。
 地元紙チャールストン・デイリー・メールが24日、報じた。
 報道によると、この女性は小児科医で、8月に息子とともにインフルエンザを発症、検査で新型と判定された。10月に再び息子とインフルエンザの症状で寝込み、再び新型と判定された。米疾病対策センター(CDC)が両方の試料を検査し直したが、やはりどちらも新型だった。
 CDCは小児科医の問い合わせに「季節性でもまれに同型のインフルエンザに2回感染することがある」と説明したというが、一般的には、一度感染すれば免疫ができるため、二度はかかりにくい。

recombinomicsによると、8月、10月に母親(医師)と学校に通う息子が感染。
最初は周りも感染者が少ないため軽い感染で弱い免疫がついた。その後学校で流行し頻繁な接触により繰り返し暴露されると最初の弱い免疫では対抗できずにまた感染し発症。こうした弱い免疫をもたずに感染する前まったく健康だった人は、より深刻な症状につながる可能性があるとしています。
 http://www.recombinomics.com/News/11250901/H1N1_X2.html

実際、この米の例は レアケースかなと思っていたら、Twitter上で医師から複数回感染するケースが見られるという情報をいただきました。 詳しくは以下のページです。
 http://drkei.blogspot.com/2009/12/blog-post_02.html

一般には、最初のニュースの末尾にあるように1度かかると免疫ができるためワクチン接種は不要とされています。

もちろん周囲の状況にもよりますし、ご本人の体調・ハイリスクか否か、抗ウイルス薬の予防投与(早期投与)を行ったか、どんな症状が出たか、その経緯はどうだったか等にもよりますが、最初に感染したときしっかり熱が出る(抗体ができているか)等の状態だったかどうか、念のため医師と十分にご相談ください。

2009年11月27日金曜日

新型インフルの副反応について

○厚生労働省/新型インフルエンザワクチンに関する安全性評価について
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/s1121-2.html

ワクチン接種について

基礎疾患をもつ高齢者の方にワクチン接種することに対して、少々注意をうながす記事が出ていますので、ご紹介です。

基礎疾患ある高齢者に留意を―新型ワクチンで厚労省検討会
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091121-00000001-cbn-soci

 新型インフルエンザワクチンの安全性の評価について、厚生労働省は11月21日、「第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」と「第1回新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会」を合同開催した。会合では、議論を受けて「重度の基礎疾患を有する患者では、接種時および接種後の処置などに留意する必要がある」などとする取りまとめ文書「新型インフルエンザワクチンに関する安全性評価について」を了承。この文書は、長妻昭厚労相に報告される。

 副反応検討会は、予防接種や内科分野の専門家らで構成され、この日は東京都健康長寿医療センターの稲松孝思・感染症科部長ら委員3人が参加。また、安全対策調査会は独協医科大の松本和則特任教授ら委員4人が出席し、内科や小児科の専門家8人を参考人として招いた。

 この日の会合では厚労省側が、新型インフルエンザワクチンの接種後に死亡した21人はいずれも50歳以上の基礎疾患を有する人とするデータを提示。主治医は基礎疾患の悪化や再発が主な死因として、ワクチン接種と死亡の関連について「関連なし」「評価不能」などと報告していると説明した。

 厚労省に協力して死亡例の評価を行った副反応検討会の稲松委員は、基礎疾患の中でも特に間質性肺炎、ぜんそくには注意が必要との見方を示した。安全対策調査会の工藤宏一郎参考人(国立国際医療センター国際疾病センター長)は、「80-90歳の基礎疾患のある人に打っていることが気になる。打つべきではない、と言うわけではないが、米国で高齢者には基礎免疫があるとの報告があり、日本の患者は若年層に多い。にもかかわらず、強迫的にワクチンを打たなければならないという雰囲気がある」と述べた。

 これに対し、安全対策調査会の河野茂参考人(長崎大医学部内科学第二教室教授)は、「季節性インフルエンザに多くかかるのは子供だが、死亡するのは高齢者で、新型インフルエンザでも同じ。ワクチン接種の目的はもともと、感染予防より重症化予防。それを忘れてはいけない」と指摘。「接種と死亡の関係は検証すべきだが、死者が出たからとリスクがある人の接種を制限するのはまずい。ワクチンが一番必要な人は誰か、精査すべきだ」と主張した。

 一方、安全対策調査会の久保惠嗣参考人(信州大副学長)は、在宅療法中の人が感染する可能性は低いと指摘し、「優先して打つ必要があるのか」と述べた。副反応検討会の岡部信彦委員(国立感染症研究所感染症情報センター長)は、「優先接種順位は、優先的に接種できるということであって、接種すべきということではないだろう」とした。 こうした議論を踏まえ、事務局が「新型インフルエンザワクチンに関する安全性評価について」とする取りまとめ案を作成、一部修正の上了承した。

 この中で死亡例について、「限られた情報では因果関係が評価できないものもあるが、大部分は基礎疾患の悪化や再発の可能性が高いと考えられ、死亡とワクチン接種との明確な関連が認められた症例は現時点ではない」とした上で、「ワクチン自体に安全性上の明確な問題があるとは考えにくい」と結論付けた。しかし、重度の基礎疾患を有する人については、ワクチンの副反応が重篤な転帰につながる可能性を否定できないため、「接種時および接種後の処置などにおいて留意する必要がある」とした。また、日常生活が極度に制限される程度の障害を心臓、腎臓または呼吸器に有する人の接種に当たっては、接種の適宜を慎重に判断するよう医師に求める方針を示した。

 接種のメリットについては、基礎疾患を有する高齢者が感染した場合には重篤化する可能性が高いため、「リスクと比較して、相対的に接種のメリットは大きいと考えられる」としている。

2009年11月19日木曜日

10mLバイアル取りやめへ

ようやくですね。

○不評「大瓶」ワクチン、1月から使用取りやめ
 http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090425-436828/news/20091117-OYT1T01053.htm

 新型インフルエンザ用ワクチンの容器について、厚生労働省は17日、来年1月以降に出荷されるワクチンの容器を1ミリ・リットル入りと妊婦用の0・5ミリ・リットル入りの2種類とし、10ミリ・リットル入りの大瓶の使用を取りやめると発表した。
 大瓶は小規模な医療機関などから「使い切れずに余ったワクチンが無駄になる」といった批判が出ていた。厚労省は「現場の声を取り入れた対応」と説明している。
 季節性インフルエンザ用ワクチンでは通常1ミリ・リットル入りの小瓶が使用されるが、厚労省は新型用ワクチンについて、輸送の効率化や大量製造に適していることから、大瓶を使用。今月上旬までに出荷された約330万ミリ・リットルのうち、約180万ミリ・リットルが大瓶だった。
 しかし、ワクチンは開封後、24時間以内に使い切らなければならず、大瓶の場合、子供だと約30~45回分が入っている。規模が小さい医療機関では通常の診療をしながら接種していると、大瓶のワクチンを1日で使い切れないため、休診日などにまとめて予約を受け、集団接種を実施するといった方法で対応していた。
 厚労省には都道府県や医療機関から、大瓶による出荷の見直しを求める意見が多数寄せられていた。これを受けて、来年1月以降は大瓶で予定していた出荷分をすべて1ミリ・リットル入りに切り替えることにした。ただ、製造計画が固まっている年内の出荷分は、従来通り大瓶が使用される。

2009年11月11日水曜日

接種回数について

大臣発表なので、今回は間違いないでしょう。

○ワクチン接種、原則1回=高校生以下は2回-厚労省 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091111-00000169-jij-soci

 新型インフルエンザ用ワクチンをめぐり、長妻昭厚生労働相は11日、高校生以下の年齢層を除き、接種回数は1回にすると正式決定した。これまでは2回を原則としていたが、1回と2回とで得られる免疫がほとんど変わらないとの臨床試験結果から、専門家らが1回接種で十分とする見解をまとめたため。

 厚労省によると、持病のある人、妊婦、高齢者、1歳未満の乳児の保護者はすべて1回接種。13歳未満の子どもは基礎的な免疫を持っていない可能性があるため2回とし、持病のある人のうち免疫状態が悪化している人は医師の判断で2回も可能とした。また、中高校生は当面2回を前提とし、12月中に臨床試験結果がまとまるのを待って1回で済むかどうか判断する。

2009年10月29日木曜日

重い副作用の発生率は約0.0007%

「新型」ワクチン、重い副作用が4件
 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=16029

計10件「頻度高いと言えない」
 厚生労働省は28日、医療従事者に対する新型インフルエンザワクチンの接種で、ショック症状(アナフィラキシー)や肝機能障害などの重い副作用(副反応)が、新たに4件報告されたと発表した。
 19日の接種開始以来、重い副作用の報告は、これで計10件。調査中の1件を除き、いずれの症状もほぼ回復しているという。同省は「現段階で副作用頻度が高いとは言えない」としている。
 10件のうち、新たな4件を含む6件は、推定約85万人への接種の中で発生した。重い副作用の発生率は約0.0007%となった。季節性ワクチンの約0.0003%より高いが、同省が医療機関に積極的な報告を求めているため、報告率が高くなっている可能性もある。押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「季節性ワクチンに比べ著しく副反応が強いということはなさそうだ。妊婦や小児などに接種した場合にどうなるか、監視する必要がある」と話している。

妊婦さんに保存剤無添加のワクチン

新型インフルエンザのワクチン接種について、記事とは直接関連がありませんが、第3回(11月6日)ワクチン出荷から保存剤無添加のワクチンが流通する予定で、妊婦さんは11月中旬まで待つことで接種機会が得られると厚労省から通達が出ています。

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/10/dl/info1022-01.pdf

ワクチン接種前倒しのものは保存剤入り。
接種を考えている妊婦さんは、どちらがよいかかかりつけの産科医と相談をするようにとする自治体が目に付きます。

 厚生労働省はかかりつけ医(とくに産科)を通して妊婦さんに周知をとしていますが、なかなか伝わらないような気がするので、もし知り合いに妊婦さんがいらしたら、教えてさしあげてください。

2009年10月24日土曜日

ワクチンの副作用

重い副作用について「季節性より少し多いという印象」という菅谷先生の談。

○新型インフルワクチン、重い副作用は接種2万人中4人
 http://www.asahi.com/special/09015/TKY200910230528.html
 今月19日に医療従事者を対象に始まった新型の豚インフルエンザのワクチン接種について、厚生労働省は23日、追跡調査で、4人の重い副作用の報告があったと発表した。接種後に発熱や動悸(どうき)、意識低下などがあったが、接種との因果関係は不明だという。全員が回復するか症状が軽くなっており、厚労省は発生率の問題は別にして、副作用自体の重さについては「季節性インフルと同程度」としている。

(中略)

 重い副作用の4人のうち入院は3人。4人とも接種当日に嘔吐(おうと)や下半身の筋肉痛、動悸などが起きた。副作用が起きやすいとされるアレルギーの病歴があるのは1人だけ。
 一方、追跡調査対象ではないが、医療従事者の接種施設から、重い副作用2人、軽い副作用23人の計25人の報告があった。重い副作用は、急激に血圧が下がる「アナフィラキシーショック」や吐き気で、既に症状は軽くなった。

 インフルに詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫小児科部長は「健康な成人2万人に重い副作用4人は多い印象だ。断定的なことは言えないが、子どもや高齢者に接種を広げるにあたっては、副作用事例を十分観察する必要がある」と話している。

2009年10月23日金曜日

妊婦さん・医師の皆さんへ

妊婦さん、もしくは医療関係者向けに日本産科婦人科学会から。ワクチン接種に関する事項が追加されています。

○10月22日付け妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ対応のQ&A改訂をお知らせ致します。 (今回改訂の要旨、一般の方向け/医療関係者向け)
 http://www.jsog.or.jp/index.html

10mL-バイアルの取り扱いについて、厚生労働省から。
○10mL-バイアル使用に係る留意事項(医師向け)
 http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/10/dl/info1020-01.pdf

2009年10月20日火曜日

決定事項は「健康な成人のみ接種1回」

現段階で決まっていることは、新型インフルエンザワクチン治験対象者そのままに、健康な成人のみが1回接種ということだけです。

今日明日中に政治的な判断が下されそうですが、少なくとも、
20歳以上の健康成人にしか治験をしていないなかで、
 → 13歳以上の健康な成人OK 
 → 妊婦さんOK
 → 基礎疾患をもった人OK
といった推論・仮説を積み重ねた不思議な結論は、この時点で先送りに…。

昨日午後9時から急遽専門家を入れ替えて行われた委員会の様子からはさまざまな問題が浮き彫りになってとても興味深いです。

メンバーは、16日にも出席していた田代眞人氏、尾身茂氏に加え、森澤雄司・自治医大病院感染制御部部長、森兼啓太・東北大大学院講師、岩田健太郎・神戸大大学院教授の3人が新たに加わりました。

○会議の詳録(随時更新途中ですが)ロハスメディカルから。
  http://lohasmedical.jp/news/2009/10/20010545.php

○19日の委員会に出席した神戸大学感染症専門の岩田教授のブログ
 http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-f939.html

新型インフルは国民の生命がかかていることに加えとても複雑なので報道の仕方がとても難しいかもしれませんが、あたかも「決定」として流されると混乱・反響が大きいですね。 流すほうの問題かもしれませんが…。

先日ご紹介した以下の記事も、まだ読みになっていなければあわせてご覧くださいね。

○新型インフル 「厚生労働省を信じてはいけない」 http://lohasmedical.jp/news/2009/10/18001220.php

2009年10月19日月曜日

肺炎球菌ワクチン、再接種認める

海外と日本のワクチン行政には大きな違いがみられます。

ワクチンに関して海外で認められていることが日本では認められなかったり、また時間がかかったりとヘンなことが多かったんですが、ようやく欧米並みになりそうな兆しが見えてきました。

今回明らかになってきた動きはこれです。
日本では1生に1度しか接種できない肺炎球菌ワクチンですが、この接種も5年程度たてば再接種ができるようになるとのこと。

○肺炎球菌ワクチンの再接種認める…厚労省
 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091018-OYT1T00677.htm?from=main5

 厚生労働省は18日、肺炎の重症化を予防する肺炎球菌ワクチンについて、1回目の接種から5年程度経ていれば再接種を認めることを決めた。

 新型インフルエンザに感染した65歳以上の高齢者が重篤な肺炎を併発することを防ぐ効果も期待される。
 同ワクチンは従来、再接種すると強い副作用が出るとして、接種は一生に1度とされていた。だが、同ワクチンの効果は5年以上たつと低下する。海外などで4年以上の間隔を置けば、再接種は問題ないとの報告が出され、現在では欧米の多くの国で再接種が認められている。
 この日開かれた同省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会は、5年を目安に一定の間隔があれば、医師の判断で再接種を認めることで合意。同省はインフルエンザワクチンとの同時接種も認めた。

子どもの肺炎球菌ワクチンも承認されたことから、どちらの年齢層にも接種をすれば新型を含むインフルエンザによる重症者が減るのではと期待されるところです。

これまでは季節性インフルエンザに感染したことをきっかけとして肺炎などで亡くなることが多い高齢者層に接種されてきた肺炎球菌ワクチンですが、これにより新型インフルなどのハイリスク者である基礎疾患をもった方も積極的な接種がなされるようになるかもしれません。

そしてまた、季節性で亡くなることが多いもう一つの年齢層、小児の肺炎球菌ワクチンも承認の動き。これにより新型インフルにも大きな武器を備えることができるといえそうです。

○肺炎球菌:小児用ワクチン、国内販売を承認
 http://mainichi.jp/select/science/news/20091017ddm041040150000c.html

 厚生労働省は16日、小児用の肺炎球菌ワクチンの国内販売を承認した。肺炎球菌は子どもに重症の髄膜炎や肺炎などを起こす。国内では、来春までに小児科などで任意接種が受けられるようになる見通し。
 承認されたのはワイス(東京都品川区)が申請していた小児用肺炎球菌ワクチン「プレベナー」。日本の承認は98カ国目。
 肺炎球菌が原因の髄膜炎は年間約200人が発症する。病気の進行が早く、致死率は10%と言われている。接種対象は生後2カ月から9歳以下。接種時期は、生後2カ月以上~7カ月未満に始め、1歳3カ月までに計4回を標準としている。

一般的に、ワクチンを多くの人に接種することで、社会全体として感染の広がりを抑えたり、助かる人が多くなって、国にかかる医療費全体も安くなるといった効果が見込めることになります。

その一方で、ワクチンを接種により残念ながら副反応(副作用)が一定の割合で出ます。たとえば100万人に1人というようなごく稀でごく小さな割合ながら、重篤な後遺症が残るケースもあります。こうした補償をどうするか。社会全体として接種したのだから、万一重篤な副反応がみられた場合には社会全体として支えましょう、ということが求められます。

それが欧米ですでに行われている無過失補償制度(接種した医師・メーカーが責任をとることなく、十分な補償を行うという制度で、この補償を受ける場合には訴訟をしないということが条件に。ですが日本は訴訟の権利は万人に認められていますから、新型ではすぐに適用できなかった)です。

厚生労働省・足立政務官は、この制度を新型に間に合わせることができなかったが、これから出す特別法に「今後検討していく」という条文を盛り込むことを明言なさっていますので、まだ時間がかかるかもしれませんがこれも実施される方向に…。

日本は世界の流れに反するワクチン政策を行ってきたとずっと揶揄されてきましたが、民主党政権はこれに前向きなので、ようやく欧米並みのワクチン行政になるという嬉しい予感…。

ワクチンだけでなく海外で認められている未承認薬(抗がん剤等)も認められるようになるといいですね。

2009年10月18日日曜日

ワクチン1回かどうかは不透明に?

自治体によっては19日から医療関係者に向けて始まるとされるワクチン接種ですが、ワクチン1回でいいよ、という話が伝わり、接種の自治体等はこの時期にと困惑が広がっている様子です。

○1回接種、自治体は「寝耳に水」
http://sankei.jp.msn.com/life/body/091017/bdy0910172000004-n1.htm

報道が先走りましたが、実はまだ政務三役も了承しておらず、決定事項ではない様子。
まだこの決定までには紆余曲折もあるかもしれません。(これを決定した「専門家委員会」のメンバーの問題とその議論の過程に疑問符がつけられているため。足立政務官は、「科学者の端くれとして断じて許せない」と激怒したとも報道されていますし、確かに素人目に見てもおかしな部分が満載です)

○新型インフル ワクチン1回化は「科学の仮面かぶったデタラメ」
 http://lohasmedical.jp/news/2009/10/17190448.php

(以下、世田谷区医師会講演会において上昌弘・東大医科研特任准教授の話から抜粋)

 「議論の判断材料になった臨床試験のデザインは非劣性試験といって、標準治療が存在する時に、効果は劣る代わりに別のメリットがあるような治療法をテストし、劣る効果と得られるメリットとを比較検討するためのもの。今回の場合、標準治療は2回打ち、効果は抗体価の上昇、メリットは接種人数が増えること、になる。だから、試験結果の正しい読み方は、2回打ちに比べて1回打ちは抗体価の上昇が10ポイントほど低いけれど、それを容認してでも接種人数を増やすべきか、ということになる。こんなのは学生でも半年ぐらい勉強すれば分かること。なぜこんな簡単なことを間違えるかと言えば、専門家会議と言いながらメンバーは素人だからだ」
 さらに「百歩譲ってメリットが上回ることを認めたとしても、20歳以上の人を対象にした試験で、なぜ13歳以上まで適用を広げられるのか。科学的には言えるはずがない。特に今回は中高生の罹患も重症化事例も多いことが知られていて、成人と様相が明らかに異なる。臨床試験の勉強をした人なら絶対にしないような合意をしてしまっている。この国は危険だ。素人が判断して、それを皆で拝んでいる」と述べた。
 同じく講演会で講師を務めた森澤雄司・自治医大感染制御部部長も「そもそも抗体価が上昇するからといって、ワクチンに効果があるとは限らない。また、海外のワクチンが1回で効果があると言っても、それと国産ワクチンとは全く別物。それぞれ独立に判断しなければならない。前提条件を3重にも4重にも間違えている。以前は確信犯的にやっていると思っていたのだけれど、最近は本当に知らないんじゃないかと思うようになった」と、講演会終了後の取材に対して語った。

 詳細には、次の記事。

○新型インフル 「厚生労働省を信じてはいけない」
 http://lohasmedical.jp/news/2009/10/18001220.php

記事は少し長いですが、問題点が多数見えてきます。
なかでも、「新型と同じH1N1型である季節性Aソ連型に過去に感染した際に、新型に対しても基礎的な免疫を得ている可能性があるという推論の上に、13歳以上ならば同様に基礎的な免疫を得ているだろうという推論を二段階重ねて、この結論を導き出している」と指摘されていますが、この推論には専門家ならずとも疑問符がつくところです。

これまでのところ、中高生の間で流行したり重症化したりする例が目立っていることを考え合わせると、少なくともこの年齢層に対して2回接種をしないという決定はよくわかりませんね。

2009年10月16日金曜日

ワクチン接種、原則1回という案

接種は原則1回という方向性が示されました。

これが実施されれば、医療機関の負担も減りますし、ワクチンを接種できる人数も増えるといったことになりそうですね。

新型インフルワクチン、接種は原則1回=13歳未満、免疫不全者は2回
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000138-jij-soci

 厚生労働省が16日開いた新型インフルエンザワクチンについての意見交換会で、出席した専門家らは、国産ワクチンの接種回数を原則1回とする方針で合意した。同省は長妻昭厚労相に報告し、近く最終決定する。

 国産ワクチンの臨床試験で、1回の接種で十分な免疫が得られることが分かったため、2回接種の方針を改めた。これまでの計画より、国産ワクチンを打てる人が増える見通しとなった。 合意によると、1回接種となるのは医療従事者と1歳未満の乳児の保護者に加え、妊婦、中学・高校生、高齢者。 持病のある人も基本的に1回接種だが、白血病やエイズウイルス(HIV)感染などで免疫状態が悪化している人は、主治医の判断で2回接種もできる。1歳以上13歳未満の子どもは1回接種では十分な免疫が得られない可能性があり、原則的に2回接種とする。 

ワクチンの有効性ほか

 まずは朗報から。

国産ワクチン、1回の接種で効果 厚労省
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000050-mai-soci

 厚生労働省は16日、新型インフルエンザの国産ワクチンについて、「1回の接種で効果的な免疫反応が期待できる」とする治験結果を公表した。新型インフルエンザは大半の人が免疫を持たないため、これまで2回接種を前提にしていた。だが、1回接種で十分になった場合、接種人数が増える可能性がある。

 治験は北里研究所が製造したワクチンについて9月17日から健康な成人200人に対して実施。通常量(15マイクログラム)を皮下注射した結果、血液中で免疫として働く抗体の量が4倍以上上昇するなど、ワクチンの有効性を示す基準を満たした人が96人中72人(75%)で、ワクチンとして有効と評価される国際基準の40%を上回った。また倍の量(30マイクログラム)を接種した98人では86人(87.8%)に上った。

 ワクチンを接種した後の副作用は45.9%の人にあり、接種個所が赤く腫れたりする頻度が高かった。比較的重い副作用として急なアレルギーショックなどもあったという。
 新型インフルエンザのワクチン接種回数を巡っては米厚生省も9月、成人に対する臨床試験結果から、1回の接種で十分な免疫効果を得られたと発表していた。

 ワクチンの効果については、朗報ですね。
 副反応に関しても報告がありますが、ちなみに、8/20、8/27新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会の資料「予防接種後副反応報告書集計報告」によると、インフルエンザでは、ワクチン接種者数13,064,354人に対して、副反応報告症例数25。頻度は、10,000人当たり、0.01913です。

 ワクチンについてより詳しい内容は、厚生労働省HPを参照のこと。
  http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_vaccine.html

 そして、5月から専門家がずっと指摘してきましたが、早くも医療機関パンクの予兆が。

新型インフル:患者殺到続けば危険 愛知県病院協会が声明
 http://mainichi.jp/select/science/news/20091016k0000e040073000c.html
 


 新型インフルエンザの拡大が続く中、重症緊急患者を受け入れる3次緊急病院にインフルエンザを疑う受診者が土日祝日に殺到していることが分かった。愛知県病院協会が15日明らかにしたもので、稲垣春夫会長(トヨタ記念病院院長)は「現場はパンク状態。患者の殺到が続けば、事故が起きる心配もあり、冷静な対応をお願いしたい」などとする緊急アピールを発表した。

 同協会などによると、名古屋第2赤十字病院(名古屋市昭和区)では、今月10~12日の3連休、インフルエンザではないかと訴える受診者が平日の4~9倍にあたる約130~280人訪れた。また、名古屋掖済会病院(同市中川区)でも、小児科で通常の土日祝日の4倍に上る受診者が訪れ、診察まで4時間待ちだったという。土日祝日に開業医が休みになるのが原因とみられ、病院では医師を増員するなどして対応に追われているという。

 そうしたことを受けて、厚生労働省から、呼びかけ。

国産ワクチン1回で効果 新型インフル臨床報告
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091016-00000075-san-soci

(一部抜粋)

安易な受診やめて
 厚生労働省の足立信也政務官は16日の記者会見で、11日までの1週間に全国約5千の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が1機関当たり12・92人と、前週の6・40人から倍増し、流行が急速に拡大していることを明らかにした。
 その上で足立政務官は「念のための受診も多く、重症者への対応が遅れる可能性が出ている」として、安易な受診を控えるよう注意を呼び掛けた。

 医療施設のパンクについては、5月来専門家がずっと指摘してきたところですが、ワクチン接種の混乱も相まって地域の医療体制は整っていないところが多いようです。
 自治体もいまワクチン接種について医療機関と調整中でてんやわんやなので、できれば「ワクチンはいつから」といった質問電話は少し控えていただいて、もうしばらく自治体からの発表を待っていただきたいところです。

 一方で、治療を受ける必要があるかどうか等、徐々に自治体等の相談窓口の充実を図っていってほしいところ…。

2009年10月13日火曜日

ワクチンまとめ

ワクチンに関する記事からです。

○新型インフルワクチン接種 「過信は禁物」
 http://www.oita-press.co.jp/localNews/2009_125541224395.html

○【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦   
  http://sankei.jp.msn.com/life/body/090926/bdy0909260406000-n1.htm

○ワクチン効果、限界も 大流行に備えて
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/swine/list/200910/CK2009100502000108.html
国産の新型インフルワクチンは、季節性のインフルエンザと「同等の安全性」といわれているので昨年度の副作用をチェック。
○季節性インフル、121人に副作用の疑い=昨年度のワクチン接種-厚労省
  http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009092900975

ということで、 ごく簡単にですがまとめです。

インフルエンザワクチンは重症化・肺炎・死亡のリスクを下げるとともに大きな流行を抑えることに有効です。

新型インフルエンザは、感染しても大多数の人が軽症ですが、ごくごく少数ながら健康な人でも重症化・死亡する例がみられることから、ワクチンの接種は個人と社会的機能を守る予防策のひとつとして大いに期待されています。

しかし、接種には、異物を体内に入れることから多かれ少なかれ副反応がつきものです。新型インフルエンザの国産のワクチンは季節性インフルエンザのワクチンと同じ製法で作られていることから、新型のワクチンは季節性と同等の安全性をもつと考えられていますが、「同等の安全性」とは「まったく副反応が起きない」ということではなく、ごくごくまれながら重篤な副反応も見られることもあります。

また、ワクチンを接種しても、絶対に感染しないというわけではありません。

最終的には、皆さん一人ひとりが新型インフルエンザに感染した場合に重症化するリスクと、ワクチンの有効性・安全性を考慮して接種するかどうかを決めることが求められています(基礎疾患をお持ちの方は、ご自身の状態が免疫力が低下した状態かどうか、コントロールされている状態か等、かかりつけ医にうかがってご相談なさるとよいと思います)。

こうしたことに加えワクチンが国内に十分に行き渡らなかったり、流行ピーク時に間に合わない可能性がある今、新型インフルエンザの予防においてワクチンは唯一の切り札ではなく、一人ひとりの予防と早期発見・早期治療が最も重要と考えられています。

2009年10月7日水曜日

不安はつきぬ…

今度はこんな記事。
…と言われても、親御さんはやっぱり悩みますよね。

それと、地域の小児科医がこうした接種方法をしてくださるかどうか。
プリントアウトして、予めかかりつけ医に相談しておくとよいかもしれません。

卵アレルギー児にもインフルワクチン接種を推奨-都講演会で小児科医

 東京都と独立行政法人環境再生保全機構は10月5日、子どものぜんそくや食物アレルギーの正しい知識と対応法に関する講演会を開き、東京慈恵会医科大附属第三病院小児科の田知本寛医師が自らの診療経験などを基に講演、また参加者の質問に応じた。卵アレルギーを持つ3歳児の親から、鶏卵を使って生産する新型インフルエンザワクチンの接種後の副反応を不安がる声があり、田知本氏はワクチンが少量であることを説明し、「基本的には、ワクチンはすべてやる方向です。卵アレルギーがあっても。だからインフルエンザワクチンもやるべきだと思う」と、接種を推奨した。

 講演会には、アレルギーを持つ子どもの保護者や看護師、保育士など約250人が参加。

 田知本氏は、アトピー性皮膚炎の子どもの入浴について「手で洗えば傷にならない」とし、顔も体もよく泡立てた石鹸を用い、「手でごしごし洗って構わない」と述べるなど、日常生活での対応法や、アレルギー状況を知る上での食物日記の重要性などを解説した。 講演後に行われた質疑応答では、田知本氏が推奨した入浴法について、保育園勤務の女性が「石鹸を使った入浴でよくない場合もあるのか」と質問した。これに対し田知本氏は、「皮膚科のアトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、洗うことが基本になっている」と指摘。「よくないパターンはあまり考えにくい」と答えた。 また、新型インフルエンザに関する不安の声も参加者から上がり、季節の変わり目にぜんそくの症状がひどくなるという4歳の息子の保護者は、「ぜんそくの子はインフルエンザにかかるととても危険」との報道を挙げ、対処法を尋ねた。 田知本氏は「治療を普段からちゃんとしている子は、悪くなりにくいのではないか」とし、普段から治療をきちんと受ける重要性を強調した。

 別の保護者は、卵などの食物アレルギーを持つ子への、鶏卵を使って製造するワクチンの接種への不安を訴えた。田知本氏はワクチン接種の推奨の方向性を示した上で、副反応に備えワクチンを分割して接種する方法を紹介。それによると、一回0.2ccを2回接種する場合は、まず0.05ccを1回打ち、腫れてこなければ残量を打つ。それで大丈夫なら、2回目接種では一回で0.2㏄を打つ。

 また、副反応が不安なので接種回数は「2回となっているが、1回でもいいのか」という質問には、「ブースター効果といって、抗体をたくさん作らせるためなので、規定された量(2回)は打った方がよい」と述べた。

2009年10月5日月曜日

10mlバイアルへの不安

一番安全なワクチン予防接種は、一人ずつパックされた注射器に充填されたワクチンを、一人ずつに接種していくこと。今回、妊婦さんへの接種に対してはこうしたワクチンが使われることになりそうですが、それ以外は、もしかすると、10mLバイアル(小瓶)という容器に入ったワクチンが使われることがほぼ確実になってきました。

ふつう、インフルエンザワクチンは 0.5 mL を皮下注射します。1つのバイアルで、理論上は20人接種できることになります。小児では、もう少し量が少なくなるので、もっと多い人数に接種が可能になります。

医師が接種をする作業までを追ってみると、少なくとも

  • バイアルを手で開ける
  • 注射器の袋を開ける
  • 容器の栓およびその周囲をアルコールで消毒
  • バイアルに注射器を刺す
  • 所要量を注射器内に吸引空気
  • 接種
といった流れになります。もちろん、感染症が心配されますから、注射針および注射筒は、被接種者ごとに取り換える必要等がありますし、一人に接種したのち、次の接種者までに時間が空けば、そのバイアルは冷蔵庫で適切に保存される必要があります(余ったらその日のうちに廃棄)。

これを、1バイアルで20回(20人)繰り返すことを想像するだけで、思わず目の前がくらくらしてしまうほどの大変な状態です。

森澤雄司 自治医科大学附属病院・感染制御部長は、ヒューマンエラー等がゼロになるとは言い切れず、また雑菌の混入・繁殖等も心配されことから、「今回のワクチンは数千万人に接種するという話であり、エラーが生じる可能性は数万回に 1 回であっても許容しづらい」とし、「執拗いがそのような事態に陥っているのが残念至極」とし、「現実的な医療安全の考え方で言えば、次に考えられる対策は、被接種者が当事者意識をもって関与してもらうことであり、内心忸怩たるものがあるが、「その針は清潔で安全ですか?」と接種を受ける際に本人から確認していただく必要があるかもしれない」と指摘されています。

新型インフルエンザワクチンに思うこと -10 mL-バイアルなんてウソでしょ~!- 
 森澤雄司 自治医科大学附属病院・感染制御部長/MRIC by 医療ガバナンス学会

診療所で新型インフルのワクチンが接種されることになれば、さまざまな患者のなかにワクチン接種者がいるわけなので、より煩雑になることから、一層リスクが高まります。
森澤先生は、さらに「ちなみに新型インフルエンザワクチン接種は保健所や保健センターだけでなく、一般医療機関でも実施される方針である。そのような場合に 10-mL バイアルが使用されるようであれば、予約した方々には必ず時間を守っていただきたい。予定の人数が揃わないためにバイアルの中の残液が廃棄されるような事態になれば、数を揃えるための苦肉の策である 10-mL バイアルが本末転倒に足を引っ張る理由にもなりかねない」と述べられています。

2009年10月3日土曜日

新型にも肺炎球菌ワクチンは有効

 季節性インフルエンザに感染することをきっかけとして、主に高齢者が肺炎でなくなるケースが多くみられます(高齢者の肺炎の原因となる病原体のなかで、「肺炎球菌」は最も頻度が高くなっていることから、肺炎球菌ワクチン接種が奨められてきました(ただし、季節性インフルエンザによる肺炎のすべてを防ぐものではありません)。

 新型インフルエンザは、感染したウイルスが直接悪さをして、50歳代以下の若い世代が亡くなるケースが目立っていましたが、下の記事によると、肺炎球菌による死因も見られるとのこと。

 新型インフルエンザ対策としても、肺炎球菌ワクチンが有効であるケースも多い、ということになります。朗報ですね。

○新型インフル死者の3割、細菌に同時感染

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091002-00000885-yom-sci

 新型インフルエンザの死者の約3割が細菌に同時感染していたとの調査結果を米疾病対策センター(CDC)が1日の週報で発表した。
 5月~8月に新型インフルで死亡した77人から組織を採取して検査したところ、22人が肺炎球菌などの細菌にも感染していた。
 肺炎球菌は、免疫力が落ちると増殖して、肺炎を引き起こし、患者が死亡する一因となる。
 CDCは「細菌は検出が難しいため、見逃されている可能性がある」と指摘、同時感染が疑われる場合は抗生物質による治療を検討するよう勧めている。

 現在、医療機関では、肺炎球菌ワクチンが売り切れ状態ですが、予定では10月中旬以降から徐々に出回るとのこと。

 自治体によっては補助も始まっていますので、問い合わせてみるといいですね。

2009年9月30日水曜日

ワクチンの接種場所

インフルエンザ・シーズンのピーク時、極力医療機関の負担を減らす努力が必要になります。

近々でいうと、新型インフルエンザのワクチン接種は現状では医療機関で行うといった方向性のようですが、専門家から聞かれるのは、接種は発熱患者が来ない保健所や保健センターで行うべき、という声です。

これにはいくつか理由があります。

1つに、まもなく医療機関においては定期接種の時期に入るということです。
インフルエンザシーズンに入って患者が医療機関に多く押し寄せることが想定されていますが、定期接種に加えてさらに新型インフルエンザのワクチン接種をしなくてはならないことをすでに憂慮している小児科医等がみられます。

一般にインフルエンザ様症状の患者さんの診断・治療のため、国はインフルエンザの患者と慢性疾患等の一般の患者の動線を分ける(これもなかなか難しいですが)としています。ワクチン接種を一般の医療機関で行うことになれば、さらに健康な(しかし見かけは発症していないだけかもしれない)人が加わることになります。

とすると、ここに新たなリスクが生まれます。健康な人は、新型インフルのワクチン接種をしに行って、新型をもらってきてしまうリスクがありますし、3グループに分けない限り、一般の患者にもその感染リスクが増すことになります。

そして、現在厚生労働省がワクチンの一部を「1mlバイアルを10mlバイアルに変更する」として言い出していることも、別のリスクを生む可能性があります。

東北大大学院大学院医学系研究科感染制御・検査診断学の森兼啓太講師は、10mlバイアルを使うと1本の瓶に20回穿刺することになり、微生物による汚染の機会が増す」とそのリスクを主張なさっています。

○「本当に接種できるのか?課題山積の新型インフルエンザワクチン」/森兼啓太
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-238.html

こうしたワクチン接種時の安全性は、この時代においては当然担保される必要があります。

もしこのまま厚生労働省のすすめる10mlバイアルが流通するようになるなら、どこで接種をすべきか、またどういった体制をとれば、このリスクを最小にすることができるのかといったことを十分に検討する必要があります。

そうしないと、場合によってはこうした別のリスクを負ってまで、接種する必要性があるほど高い病原性をもつ感染症なのかという本来ある議論にまで戻らざるを得なくなるように思います。

2009年9月15日火曜日

怖いの? 怖くないの?

新型インフルエンザは怖いんだぞぅ~、というガイダンスが多いですが、日本の人口の20パーセントが発病したとして、入院は1.5パーセント、死亡するのではと考えられているのは0.03パーセントです。

つまり、全国民の98.7パーセントの人は入院しないですし、99.97パーセントは死亡しないということになります。

季節性インフルエンザより感染性は高い(「新型」なのでほとんどの人に免疫がないため)とされていますが、重症化するのはごく一部、さらに残念ながら亡くなるのもそのごくごく一部といえます。

とはいえ、

  • その重症化・死亡する方があなたの身近に出る可能性も否定できないこと
  • インフルエンザシーズンに一気に病人が出たら病院に大きな負担がかかること(患者が多く押し寄せることでインフルエンザ以外の疾患の治療や手術ができなくなる、インフルエンザによる重症者に十分に対応できなくなること等)
  • 健康な若い人でも重症化する人がみられる(重症肺炎を起こす可能性がある)こと 等
から、まずは個人個人できちんと予防して、その時期その時期で感染者を少なくすることが必要というわけです。

さらに言えば、健康な人が「心配だから」「診断書・治癒証明書(こんなものはありません)をもらおう」と病院に行けば、そこでかえって新型インフルエンザをもらってきてしまうかもしれません。感染するかもしれない機会をできるだけ少なくするというのも大事です。よくよく考えて受診するようにしましょう。

<参考>
○「新型インフルエンザ対策」が爆発的流行を引き起こす
 /有限会社T&Jメディカル・ソリューションズ代表取締役 木村 知さん(医学博士)
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-235.html
○簡単に発熱外来というけれど
 /長尾クリニック(尼崎市) 長尾和宏 さん
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-234.html

さてさて、良いニュースはワクチンに関して。

○日本の輸入予定ワクチン「1回で効果」 英製薬会社発表
 http://www.asahi.com/special/09015/TKY200909150132.html
英医薬品大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は14日、新型インフルのワクチンの初期の臨床試験(治験)結果を発表した。日本が輸入を検討しているワクチンも、成人では1回接種で十分な免疫が得られたとしている。
 治験はドイツで行われ、18~60歳の健康な成人130人が参加した。免疫補助剤を添加するワクチンも、日本が輸入を検討している添加しないワクチンもほぼ同じ免疫が得られたとした。

いままでワクチンは2回接種が必要とされてきましたが、もし1回でOKとなるとより多くの人に接種できることになります。朗報ですねぇ~。

こうしたデータは、どしどし公開していっていただきたいものです。本来は輸入だからダメ、国産だからOKとは一概に言えないですもんね。

さて、ワクチンに関してはさまざまな憂慮すべき事態が見えないところで起きているようで…。「1mLバイアルを10mLバイアルにすれば輸入分は不要」というニュースが少し前に流れていましたが、その接種方法の安全性は大丈夫なのかという疑問にも答えてくれている森兼先生の論文です。

私たちに無関係なことではありませんから、注視していきたいものですね。

医療ガバナンス学会から。
○「本当に接種できるのか?課題山積の新型インフルエンザワクチン」
 /東北大学大学院医学系研究科 感染制御・検査診断学 講師 森兼啓太さん
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-238.html

○死者数を増やすのは医系技官かウイルスか?
 /厚生労働省大臣政策室 政策官 村重直子さん
 http://medg.jp/mt/2009/09/-vol-246.html